「はぁー⁉︎死ぬのはあんたよ!」
矢井田さんがスタンガンをぐりぐりと、事もあろうに顔に押しつけてくる。
火花が目の中に飛び込む近さだ。
私は懸命に食い止めながら、さらに訴えた。
「もう誰が生き残るか決まってるの!私とっ、私とあなたは死ぬことになってるのよ‼︎」
「口から出まかせ言うんじゃないわよ!」
「本当よ、本当なの!」
「じゃ、あんな弱虫が助かるって言うわけ?」
そう言って顎で指す先には、生まれたての子鹿のように震えて立っている、知念さんがいた。
両手で握りしめたナイフを突き出してはいるが、あの様子じゃ人を刺し殺すなんてこと___。
「そうよ。3人の中で助かるのは、知念さんよ」
「だから出たらめを__」
「出たらめじゃない!」
大きな声を張り上げると、わずかに矢井田さんの力が緩んだ。
ようやく、なにかを察したらしい。
「私とあなたが殺し合えば、それは相手の思う壺なの。どちらにせよ、先生は私たちを生かしておかない」
「でも、1人だけ助かるって__?」
「そう、確かに1人は助かる。でもそれは、知念さんなの。初めっから決まってたことなのよ」
「そんな、どうして?」
「それは__」



