「これで出揃ったな。今から決勝戦だ」
そう言うと、今井先生が知念さんの首を締めつけていた腕を離して、その背中をど突いた。
よろけた知念さんが床に倒れ、激しく咳き込む。
「大丈夫⁉︎」
慌てて駆け寄ろうとした私だったが、今井先生にナイフを突きつけられて動きが止まる。
「3人の中で生き残るのは1人だけ。仲良しごっこはやめるんだな。片平__てっきりお前はそのスマホで自分の名前を押して、こいつの後を追いかけると思ったがな?」
こいつ、と雷人を足先で蹴った。
そう、私にはやることがある。
生き残るのは別として【先生】だけは許さない。
みんなの敵を討つんだ。
「そうか、やる気になったか。矢井田と知念も用意はいいか?ほら、これは矢井田にやろう」
そう言って放り投げたのは、スタンガンだった。
迷う素振りもまったくなく、矢井田ミキは奪い取るように武器を手にする。
「それじゃ、知念にはこれだ」
差し出されるのは、さっきまで自分の首に押しつけられていたナイフだ。
ずっと震えている知念瑠璃は、しばらく目を伏せていたが、観念したのかナイフを受け取った。
「これで公平だろう?生き残った1人は逃してやる。先生に二言はない。1人だけ、生きてここから出られるんだ。勝ち残ることができたらな」
最後の戦いが、始まろうとしていた。