死席簿〜返事をしなければ即、死亡



俺たちは唖然と、目の前の学校委員を見ているしかなかった。


クラスで一生懸命な、浮いた存在。


誰もが空回りしている森本の言うことはきかず、影で笑い者にしていた。それでも汗を流して、クラスの行事を仕切ろうと、少しでも良いクラスにしようとしていたのかもしれない。


虚しい頑張りだったのだろうが__。


「だから一度、なくなればいいのよ。3年1組は全員が死んで、消滅してしまえばいい」


それが正しいのだと、森本は真顔で言う。


「お前、本気で言ってるのか?」


「私だって、みんなにだけ犠牲を強いらせたりはしないわ」


「どういう、意味だ?」


「もうそろそろ、私の役目も終わりだから」


なにかに取り憑かれたように、虚ろな目をしている森本は、握りしめていたあるものを突き出す。


それはスマホだった。


「先生の言うことは絶対なの。それが理想のクラスを創り上げるから。もし先生が私に【死ね】と言うなら、私は迷わずに死を選ぶわ」


「森本、まだ今からでも間に合う。俺たちと一緒に__」


「楠木くん!まだ、助かるとでも思ってるの?」


そう言って、視線を下げた__四角い液晶に。


そこには、監視カメラに映された教室が。小金沢が今井を椅子に縛り付けて捉えている、は__ず?


「まさか、先生の味方が私だけだとでも思ってる?」