今井が出席簿順に名前を呼び、次々に生徒たちが死んでいった。
教室を出て行った生徒を、森本は追いかけていく。
みんなを連れ戻すため。
そう思っていたが__。
「周りに死んだと思い込ませるために、お前は教室を出たんだ。全員の名前が呼ばれたはずなのに【森本亜希子】だけが呼ばれなかった。小金沢が教えてくれたよ」
「どうやらツメが甘かったみたいね」
「どうして⁉︎」
割って入ってきたのは、洋子だった。
怒っている。怒っているが、悲しんでもいる。
「水口さんは、新しい苗字を親しい人にしか打ち明けていないって。友達にしか話していないって言ってた。森本さん、水口さんと仲が良かったじゃない。それなのに、どうして?」
詰問する洋子の強い眼差しからも、森本は目をそらさない。
信じていた水口を、いとも容易く売り渡したことを、これっぽっちも悪びれていないように見える。
「それなら私もききたいことがある」
森本は貫くような視線を、俺たちにさし向ける。思わず、たじろいてしまうほどの鋭い眼差し。
「あなたたちは、どうして【先生】に従わないの?」
「えっ?」
「わたしたち生徒は先生の言うことをきく、これが学校の在るべき姿でしょう?」



