えっ⁉︎と驚いているのは、矢井田と北野の2人。
洋子だけは、俺の目を見て小さく頷いた。
やっぱり【声】で気づいていたのだろう。
協力者の正体が【森本亜希子】だということに。
「ちょっと、どういうことなのよ?」
未だに意味が分からないと矢井田ミキが、首を傾げる。
「確か森本は、死んだんじゃなかったのか?」
北野も腑に落ちない様子だ。
ちゃんと説明したほうがいいだろう。
「それは__」と口を開きかけた時だった。
放送室の奥の扉が開き___。
「楠木くん、よく分かったわね」
俺たちの学級委員が、涼しい顔で現れる。
「一度だけ声を出しただろう、水口の名前を呼んだ時に」
「桂木さんね」
薄っすら微笑む森本には、贖罪のかけらも見当たらない。
あの時、水口が放送室に乗り込み、森本と対峙をした。何度も「どうして?」と繰り返していたのは、協力者が森本だと分かったからだ。
2人は揉み合い、森本はマイクのスイッチを入れて言った。
【桂木智花】と。
水口の今現在の名を、今井にチクったんだ。
そして水口は、死んだ。
「それだけじゃない。小金沢はもっと早い段階で、お前だと疑ってたよ」
「えっ?」
「お前の名前だけ、呼ばれなかったからだ」



