休み時間が過ぎていく。


なんの解決策も見出せないまま、だ。


「とにかく、今井を殺(や)るしかない。その後で放送室に乗り込んで、仲間をぶちのめす」


小金沢の提案は、気持ちのいいくらいストレートだった。


まだ人数では、俺たちに分がある。


女子は除いたとしても、俺と小金沢、北野も腕っ節は強いし、猪俣も戦力だ。これ以上、少なくなる前に仕掛ける必要があった。


「隙を見て襲いかかろう」


俺たち男子は頷き合った。


戦力なんてない。


知能戦では、悔しいがあいつのほうが上手だ。名前さえ呼べばいい。でも__俺たちだって返事さえすればいい。一瞬、動きは止まるが、返事さえすれば死ぬことはないのだから。


【小金沢篤】


突然、スピーカーから小金沢の名前が呼ばれた。


「__はい」


いら立った様子で返事をする。


これだけのことで、戦力が削がれてしまうのは確かだ。


【知念瑠璃】


「はい」


独特のイントネーションで返事をする、知念。


今にも泣きそうだった。


【篠塚有里華】


「まじワケわかんないんですけど!」


助かると思い込んでいたらしい篠塚は、スピーカーに向かって中指をおっ立てた。


しかしすぐに「はい!」と不貞腐れて返事をする。


次々に呼ばれる名前。


俺たちの存在を確かめるかのようにそれは続く。