【水口智花】
3限目のいじめ裁判が終わった。
しかし校内放送が流れてくる。
俺たちの名前をランダムに読み上げるのは、紛れもなく今井の声だ。
目の前の今井は口を閉ざしているというのに、どうして__?
その時、チャイムが鳴った。
「次の授業は、隣の3年2組の教室を使おう。さすがに【掃除】をさせるのは先生も心苦しいからな。綺麗な教室で、新しく生まれ変わる感じが良いと思わないか?」
今井がそそくさと、血だまりの教室を出て行った。
【小金沢篤】
それなのに聞こえてくる、俺たちを呼ぶ声。
確かにスピーカーから聞こえてくるんだ。
「__はい」
限界まで堪えたのだろう。
小金沢が苦しげに返事をした。
ということは、スピーカーから流れてくる声でも有効だということ。俺たちは名前を呼ばれ続ける限り、返事をしないといけない。
「仲間がいるの?」
洋子の言葉に、誰も答えることかできなかった。
おそらく、そうだ。
今井には仲間がいる。
その証拠に__【片平洋子】と、名前が呼ばれた。
それからも聞こえてくる名前は、今ここで立ち尽くしているメンツだけ。
それってつまり__?
「監視されてるのか?」
そう言って、猪俣直樹が教室を見回す。
そう、俺たちは監視されている。
放送室の人間に。