取っ組み合う2人。
机や椅子をなぎ倒して、激しくもみ合っている。
「ちょっと‼︎2人ともやめて!」
止めに入るのは、片平洋子だけ。
あとの生徒は遠巻きに眺めている。
完全に、生徒たちの和が乱れた瞬間だった。
「自分勝手な考えはやめろ!」
そう言って、楠木が小金沢の頬に拳をお見舞いする。
「黙れ、偽善者‼︎」
負けじと、小金沢が楠木の腹を蹴った。
その拍子に教壇が吹き飛び、そこに小金沢が飛びかかってくる。
思わずよけ損ねて倒れ、こっちまで巻き込まれてしまった。
それでも2人は互いを攻撃するのをやめない。
仲間割れだ。
狙い通り、2人は仲間割れをした。
これでいい。
あとは投票で、楠木か小金沢のどちらかが生贄となれば万々歳だ。そうじゃなくても、もう2人が力を合わせることはないだろう。
「いい加減にしろ‼︎」
未だ嵐のように組み合っている2人が、ようやく互いの体から離れた。
「さっさと席につけ。今から投票を行う。無記名ならそれでも構わない。ただ、もし全員が無記名の場合は、なにも言わなくても分かってるな?」
日直に紙とペンを配らせ、否応なしに投票を行わせる。
教師のいうことは絶対だ。
従うしかないのだから。



