えっ⁉︎
今まさに、びりびりと電気の火花を散らせるスタンガンが、ジャクソンの肩口に押し当てられようとしていた。
裁決など必要ない。
陪審員も被害者も無関係。
ただ、今井は自分の怒りに任せてジャクソンから意識を奪い、そして名前を呼ぶ気だったのだろう。
名前を呼んで、殺す気だった。
でも、雄叫びを上げながら椅子ごと立ち上がったジャクソン。
椅子は、真っ二つに折れ曲がって壊れた。
きっと、この時を狙っていたに違いない。
椅子を破壊する自信があったのだろう、にんまりと笑みを浮かべるジャクソンと、血相を変えてスタンガンで突く今井。
その突き出された手を、いとも簡単に振り払う。
「ぶっ殺す!」
名前を呼ぶ暇さえなかった。
いや、たとえ名前を呼ばれたとしても、ジャクソンは返事をしなかったんじゃないか?自分の命が尽きたとしても、こいつだけは【ぶっ殺す】と。
なにがなんでも、くそ忌々しい担任を叩きのめすんだと、背を向けて教壇に逃げる今井に飛びかかった。
2人がもつれるようにして、床に倒れる。
今井が下敷きになっているのが分かった。ジャクソンの重みだけでもう、勝負は目に見えている。
押し潰す形で、今井の口を封じているのだろう。
名前が呼ばれることもない。
俺たちの勝ちだ。