ちょっと顔がむくんでる。

やっぱり外食は塩分とり過ぎだなあ。
お水をたくさん飲んで、マッサージするように顔を洗った。
お水をふき取りパンパンと顔をはたく。

また謝ったり、お金を渡そうなんてしたら、嫌がるんだろうか?
匠のことを思い出して、ちょっとだけブルーになる。

何で私の誕生日に予定がキャンセルになったのよ!
そう、大切な予定は週末にすればいいんだから。

それでもあのレストランは結局満席だった気がした。
オルゴールは他のテーブルでは使われなかったかもしれない。
平日でも皆にとっては特別な日だったのかも。
それは誕生日だとは限らない。

出会った記念日とか、付き合った記念日とか、結婚記念日とか、あとは・・・・・???

365日の中の一日だけど、いろんな記念日があると、たった一日だけが大切なんじゃない。
何日も大切な日があって、それぞれに大切で。

今のところ私には自分の分の一日しかないけど。


ぼんやりしてしまって時間が過ぎた。
急いで着替えとメイクをして、残念、朝ごはんは抜きで部屋を出た。

昨日美味しいものを食べたからいいや。

会社の近くのコンビニで飲むヨーグルトを買って、席について飲んでいた。

「おはよう、音羽。昨日は美味しいもの食べられた?」

何で知ってるんだろう?

「うん、まあね。」

「じゃあ、いい事あった?」

何で?
昨日もそう聞いてきた里佳子。

「別にないよ。」

「ホントに?」

「何?何もないけど。」

あれ?そう言いながら首を倒す。

ワイワイと人の声が交じり合う。
あちこちでおはようが聞こえる。

「とりあえず後で。」

そう言っていなくなった。

トイレに行って口を漱いで、自販機で紅茶を買って席に戻った。