一人でわからなくなっていると、蓮くんにため息をつかれた。



「昨日の秋野の言葉、本気だと思うよ」
「……え…?どうしてそう思うの…?」



「同じ男同士だからわかるのかな。
とにかく秋野に近づいたらダメだからね」



「う、うん…」



やっぱり蓮くんを不安にさせたくないから、素直に頷く。



でも昨日のことについてはちゃんとお礼が言いたいなと思った。



そして蓮くんと歩いていると、周りからの視線がすごくて騒がれる。



「……えっ!あの二人付き合ってたの!?」



「ちょっと待って、なんで上条くんが桃原さんといるの!?」



少し周りの視線に怖くなっていると、蓮くんにぎゅっと手を握る力が強められ、安心感が心の中で広がる。



大丈夫と言われてるような気がして、自然と頬が緩んだ。



その後も先輩後輩問わず騒がれながら教室に入ると、すぐに同じクラスの子たちから質問攻めされる。



「お前らいつから付き合ってんだよ!」
「本当に付き合ってるの!?」



あっという間に囲まれた私たち。



かと思えば突然蓮くんに肩を抱かれ、そのまま引き寄せられる。



そして蓮くんが一言、笑顔でみんなに言い放った。




「菜穂は、俺の婚約者だよ」






END