「×××くん、隣の中学の不良とタイマンしたんだって」
「一人で十人倒したんだろ。それも自分は無傷で」
「あたし十五人って聞いたよ」
「目を合わせたら最後だって」


気づけば俺にまつわる噂が蔓延していた。

でっち上げも多かった。


俺が地元の不良から恐れられていたのは事実だ。

大人数相手だろうと、大人だろうと勝ち続けたのも嘘じゃない。


だけどそれは――。


「待てよ。肩ぶつけておいて無視はねぇだろ」
「ちょっ……お前そいつが誰か知らないのかよ」
「は?」


どれも向こうから仕掛けてくるわけで

俺は


「許してくれ!」


売られた喧嘩を買っていたにすぎない。