「あんなワガママ娘の貰い手、見つかる方が奇跡さ。またいつでも来いや。そのうち店をたたんだとしても幻なら大歓迎だ」

「霞は、いい女ですよ」

「わかってるわボケ」


オッサンは、霞の父親だ。

もっとも霞は母親のところで新しい父親と暮らしていて、オッサンと会うことを母親に嫌がられるから滅多に顔を合わせないようだが。


それでも、血の繋がった親子なんだ。


「どうかサヨナラなんて言わないでやってくれ。お互い大人んなったら。昔話でもすりゃいいし。酒が飲める年になったら、付き合えよ」

「……はい」