夜ご飯の愁さんお手製のピラフは、これまで食べたどのピラフよりも美味しくて。


隠し味はなんですかと聞いたら

『そんなもんねーな。味付けは、だしとスープを合わせてみたが』と言われた。

なるほど。

合わせるって概念がなかった。


愁さんの料理の腕は、本人の自覚なしに進化していそうな気がする。


食事のあと一足先に部屋で休むように言われたけど、一緒にキッチンで片付けをした。


「少しくらい気を抜こうと思わないのか?」

「こっちのほうが、性に合ってます」


動いていると、少し、気が紛れる。


片付けが終わってからも、一人になりたくなくて、燐さんが座っているソファの向かい側のソファにかけた。


愁さんは部屋に戻って行った。

勉強するのだろう。


向うつ伏せで寝転びながらノートパソコンをいじっている燐さん。


さっきも驚いたが、手元を一切見てないのがすごい。


どこになんのキーがあるか感覚で覚えているんだねきっと。


「なにしてるか気になる?」

「あっ……はい」


邪魔しちゃったかなと思いながらも

「すごい速さで打ってますが。文字を書いてるんですか?」

疑問を投げかける。


「プログラムの勉強」

「プログラム……」


授業で、少しだけやったことがある。


「コンピュータが理解できる言葉みたいなもの。打ち込めば、その通りに動いてくれる。便利だよねぇ」