「言いたいことがあるならハッキリどーぞ」

「ユウのこと傷つけてどうする」


ソファに寝転がる燐を上から見下ろす。


「だから言ったのに。愁と二人にしてって。それでも聞くって言ったのはユウちゃんだからね」


そりゃあ、燐の気持ちを聞きたがったのはユウだけどよ。


『どこかで悲劇のヒロインぶってるように見える。それに冷めてるボクがいる』


あんな厳しいこと言われたらへこむだろ。


もっと言葉選ぶなり。二人にしてって言わずに二人になったときに話すなり、方法は、あったはずだ。


お前なら優しくできたはずだろ?


なのに。敢えてあんなこと言うなよ。


「みんながあの子を甘やかしていても仕方ないでしょ」

「……お前のパンチは強力すぎる」

「強くなってもらわなきゃ困るからね。ボクの言葉にいちいちメンタルやられてるくらいじゃ、この先ぺしゃんといくよ」


わかってる。

だけどそれでも、ユウの傷ついた顔は見たくないと思う俺はぬるいのだろうか。


「宗吾は、ここ数日異様な動きを見せている」

「……なんだと?」


燐は普段はどこでなにをしているか、わからないようなやつで。

うちの外でなにをしているか把握できたもんじゃない。


(ユウの家の人間の動向探ってやがったのか?)


「宗吾の銀行口座から、頻繁に金が引き出されてるんだ」

「……金?」

「うん。それも、ユウちゃんが失踪した直後からね」