「なるほどね。まあ、それでもできる限りの情報が欲しい」
「……とても、控えめな人です」
口数は少なく、おばさんとでさえ、必要最低限しか話をしない。
人と話すときは聞き役に徹している。
「兄の宗吾は運動も勉強もできて、女の子にもモテてたんだよね。ユウゴは? 遊んでた?」
「いえ。そういう様子は見られませんでした。学校が終わるとまっすぐに帰ってきて、外出も多くはない感じで」
「ユウゴはユウちゃんと同じ年だったのか」
「はい」
「ひょっとして、おばさんは。宗吾じゃなくて。ユウゴとユウちゃんを比べてた?」
息子よりわたしの成績がいいとおばさんが怒ったことについて話したから、そこを聞かれているのだ。
「そうです。だけど、けっして優吾さんは劣等生ではありません。欠点というほどのものは彼にありません」
ただ、宗吾さんのような学年のトップにいつも立つような成績ではなかったようだ。
「モテない根暗って感じのやつ?」
「いえ……。女の子からは、カッコいいと言われていたみたいです。わたしの友達も、イケメンな息子たちと住めていいなって羨んでいましたし。優吾さんは、自分から、女の子を避けているように見えました」
「自分から?」
「宗吾さんが遊びに行くとき、優吾さんを誘っていて。なんだか。優吾さんは嫌そうで」
「へえ」
「宗吾さんから『顔は悪くないんだ。その気になれば好きなだけ手に入るのに』って言われていて。それに対し、優吾さんは困っていたように見えたんです」
結局あのあと宗吾さんは、優吾さんの背中を『ヘタレ』って叩いて、連れて行かず。
自分だけ女の子のいる場所に出掛けた。
「草食系男子か。それとも」
燐さんが、ニヤリと笑っている。
「キミの敵は。宗吾じゃなくて、優吾かもしれないね」
(優吾さんが、敵……!?)
「優吾さんは、宗吾さんみたいに冷たい表情向けてきたり、罵ったりはしてきませんよ」
「そこだよ」
「……?」
「イジメや虐待にもイロイロあるけどさ。無視って残酷な部類に入ると思わない?」


