総長さんが甘やかしてくる③



夏休みに入る前

幻に友達ができたという噂を、聞いた。


中学時代の幻を知っていたから意外だった。

あの頃は誰とも話していなかったのに。


その噂は、なにも黒梦内だけでなく

いろんなところに広がっていったんだ。


というのも、当時の僕は色んな場所に情報網を張っていた。


敵チームにスパイを送り込むこともしていた。


「……へえ。そんなことになってるんだ。教えてくれてありがとう、霧切(きりぎり)」


羅刹だって例外じゃない。

霧切は僕の犬だ。


とんでもない計画が立てられていて、明日実行されるらしいということを知った。


だからといって僕は、それを幻に伝えなかった。


というのも、

林さんから「放っておけ」と言われたのだ。


絶対に面倒なことになるのに。

止めなかったんだ。


あのとき僕は、林さんの考えていることがわからなかった。


でも、今ならわかる。


林さんは幻を絶望させたあと

大きな責任を背負わせてから、総長にしたかったんだと。


……酷い人だよね。

林さんらしいといえば、林さんらしい。


幻を成長させるためなら手段を選ばない。