夏休みに入る前
幻に友達ができたという噂を、聞いた。
中学時代の幻を知っていたから意外だった。
あの頃は誰とも話していなかったのに。
その噂は、なにも黒梦内だけでなく
いろんなところに広がっていったんだ。
というのも、当時の僕は色んな場所に情報網を張っていた。
敵チームにスパイを送り込むこともしていた。
「……へえ。そんなことになってるんだ。教えてくれてありがとう、霧切(きりぎり)」
羅刹だって例外じゃない。
霧切は僕の犬だ。
とんでもない計画が立てられていて、明日実行されるらしいということを知った。
だからといって僕は、それを幻に伝えなかった。
というのも、
林さんから「放っておけ」と言われたのだ。
絶対に面倒なことになるのに。
止めなかったんだ。
あのとき僕は、林さんの考えていることがわからなかった。
でも、今ならわかる。
林さんは幻を絶望させたあと
大きな責任を背負わせてから、総長にしたかったんだと。
……酷い人だよね。
林さんらしいといえば、林さんらしい。
幻を成長させるためなら手段を選ばない。


