脈がないのはわかりきった上で
なんとか近づけさせてあげるだけでも叶えられたら、あとはかすみが気が済むまでやると思った。
当たって砕けたあと
僕がかすみを、もらっちゃえばいいと。
「あの子、君の大ファンだから。『今日も会うの? サインもらってきて!』なーんて言うんだ。そうだ、今度ツーショット写真撮ってあげてよ」
「俺はお前のように振る舞うつもりはない」
幻にはとっくに僕の笑顔がニセモノってバレていた。
「そのままでいいさ。君が笑うなんて、誰も思ってない」
ありのままでいて自然とかすみに好かれる幻が羨ましかったし、憎かった。
「君の手で汚してあげて。その様子。どっかで寝転がってみていたいものだな」
いっそ幻が、かすみを傷つけてくれたら。
僕がボロボロになった彼女を救い出すヒーローになれるのに。


