見たんだ。
ある夜、綺麗なお姉さんと高級車から出てくる幻を。
女は幻にもたれかかり
幻も、女の腰に手を回していて。
明らかに『友達』の距離感ではなかった。
あいつは豪邸に住んでいた。
チームのやつらの多くはそれを知らなかったが、幻は名家の跡取りだった。
必要ない、というのは。
つまりは、用意されていたから。
それに気づいたときビックリしたよ。
教育の行き届いた坊っちゃんというのは
そんな相手も親に与えられちゃうんだ……って。
もっとも。
高清水家のトップがどうかしてるだけかもしれないけど。
幻の可愛がられようは僕から見ても異様だった。
幻が起こす暴力沙汰がどれもなかったことになるのは、あいつの家が絡んでいるに決まっている。
名家の恥だと思うなら、とっくに黒梦を抜けさせているはずで。
幻は家に縛られながらも甘やかされているのだと思った。
こんな男が同年代の普通の女の子に引かれるとは思わなかったし、かすみに扱える気もしなかった。
「もしかして。女の子より男がいいの?」
「さあな」
「だったら僕の幼なじみが悲しんじゃうなー」


