総長さんが甘やかしてくる③



見たんだ。

ある夜、綺麗なお姉さんと高級車から出てくる幻を。


女は幻にもたれかかり

幻も、女の腰に手を回していて。


明らかに『友達』の距離感ではなかった。


あいつは豪邸に住んでいた。

チームのやつらの多くはそれを知らなかったが、幻は名家の跡取りだった。


必要ない、というのは。

つまりは、用意されていたから。


それに気づいたときビックリしたよ。


教育の行き届いた坊っちゃんというのは

そんな相手も親に与えられちゃうんだ……って。


もっとも。


高清水家のトップがどうかしてるだけかもしれないけど。


幻の可愛がられようは僕から見ても異様だった。


幻が起こす暴力沙汰がどれもなかったことになるのは、あいつの家が絡んでいるに決まっている。


名家の恥だと思うなら、とっくに黒梦を抜けさせているはずで。

幻は家に縛られながらも甘やかされているのだと思った。


こんな男が同年代の普通の女の子に引かれるとは思わなかったし、かすみに扱える気もしなかった。


「もしかして。女の子より男がいいの?」

「さあな」

「だったら僕の幼なじみが悲しんじゃうなー」