幻は、俺とはちがう。
この少女に振り回されるような男ではない。
それでもカスミは
幻を一途に、思い続けてきた。
“切ない”と。言っていたな。
その言葉はきっと、彼女の、紛れもない本心なのだろう。
「お待たせ」
俺の前にまわりこんできたカスミは、白のセーラー服姿だった。
「女子というのは。もっと、支度に時間のかかる生き物かと思っていた」
「下着つけてないからね」
「は?」
「うそだし。想像した?」
「……していない」
「しても。いいんだよ?」
こういうところ、
アイツに似てやがるんだよな。
だから余計に放っておけない気持ちになるのかもしれない。
もっともアイツの方が、斜め上で。
過激で。
心、揺さぶりやがって。
俺のこと求めてきやがるから。
ある程度、免疫ついてんだよな。
でなきゃカスミ相手に
こんなに冷静になれなかっただろう。
……おかしな話だが。
燐の方が、100倍手強い。


