木良のハナシによると、稔の携帯の電話口には『稔でない男』がいたということだった。 ――廃工場に一人で来い それが、何者かわからない男からの要求。 「どこいくの、幻」 行き先なんて、一つしか、なかった。 「やめておきなよ。きっと罠だ。殺しはしないって、たぶん」 「…………」 「そいつ。信用できる?」 そう聞いてきた木良に 「俺よりはずっとまともな人間だ」 そう言い残し、その場をあとにした。