「俺としてもビックリ。
 セツナ以外でココで会うの
 キミが初めてだからね」


『不思議な気分だ』とか言いながら
コーヒーを注文している。


「”セツナ以外で”って…
 何よそれ。
 彼女とのデートスポットなワケ?
 ってかどうして注文までしてんのよ」

「なかなかの言いたい放題。
 気遣いとか遠慮とかがないねぇ。
 煌月にフラれて
 落ち込んでいると思ったけど
 案外元気そうで良かったよ」

「なッ」


ニコニコしながら嫌味を言われて
すっごくムカついてきた。

本当は今すぐにでも
お店を出たかったけれど
パスタを注文しちゃったから
さすがにキャンセルってワケにはいかないし
とりあえず我慢、我慢。


「まぁ…俺もキミと一緒なんだけどね。
 結局、セツナは煌月を選んだしさ…」


メニューを見ながら
ポツリと呟く陽向さんは
どことなく寂しそうに見える。


「まだ吹っ切れてないんですか?
 外国にいるなら
 金髪美人の彼女を作ればいいじゃないですか」

「そういうキミは吹っ切れたの?」

「それは…」


逆に聞かれてしまい
答える事に躊躇ってしまった。