あれ?
陽向さん…急に表情が変わった?

気のせいか…?



「ったく…何やってんだよ。
 そんなに驚く事だったか?」

「あはは…」


陽向さんを追い返してしまったせいで
自ら2人きりの空間を作ってしまった…


アタシ、マジでバカだ。


驚いた理由に
『あのキスの事を考えてたら
 まさか本人が登場するなんて思ってなくて
 動揺しすぎて、つい…』だなんて
口が裂けても言えない。


だけどコイツは…
どう思っているんだろうか――


「火傷はしてないか?」

「あ、うん…大丈夫」

「着替えは?
 持ってんのか?」

「あ、うん…持ってる」


自分の返答に
あまりに違和感がありすぎる。


「なんだよ…さっきから
 変だぞ?」


気付かれるわな…
そりゃそうだよね。
でも…


「…アンタは
 気にしてないワケ?」

「は?」

「こ、この前の事…」

「なんだよ、この前って…」

「それは…
 キ…」


自分で地雷を踏んでおきながら
いざ言おうとすると
なかなか言葉が出てこない。

そうなると
ますます言いづらくなってしまう…


「キスの事か?」

「・・・へ?」


あれ、今アンタ
何を…?