いつどこでアナタが見ているかわかんないから
『仲良く一緒にご飯』なんて無理無理。
そんな事するつもり最初からないから
どっちでもいいんだけどさ。


「じゃ、じゃぁまた明日」


めちゃくちゃ顔を強張らせた笑顔を作って
この人に会釈すると。


「はい!
 また明日お仕事で!」


純粋無垢(っぽく見える)笑顔が返ってきて
嬉しそうに鞄から合鍵を取り出し
鼻歌を歌いながら部屋へと入っていってしまった。


今日はいろいろ聞かれず
平和に開放してくれた…

ホッと胸を撫でおろし
アタシも自室へと入り
夕飯を作り酒を飲んで一息。


「…虚しッ」


隣じゃ
通い妻が男の為に手料理を施していると言うのに
30歳手前にしたアタシは
独りで酒のツマミを作って独り酒って
寂しすぎる。


「あれ?アタシ…
 彼氏いたのって最後いつだっけ?」


なんて自問自答するだけ
本当に虚しくなる。

見合いか合コンか
それとも結婚相談所…
どれも苦手だった。


「一生独身バンザーイ…」


そう言いながら
ソファにゴロンと寝転び
そのまま瞼は重たくなっていった―――