「おい三好。ちゃんと勉強してるのか?
期末まであと2週間だぞ」



次の日の昼休み。
廊下で偶然すれ違った数学の先生から声をかけられて、ビクッと立ち止まる。


「あ……ははは」



昨日は、茜くんに心配してもらえたことが嬉しくて、期末テストと留年の話は頭の中から飛んでしまっていた。

へらりと笑って誤魔化そうとするけれど先生にはバレてしまったようで。

はぁ、と大きなため息をついて私を見下ろす先生。怖いです。





「……おい、お前もだぞ。
櫻木 郁人(さくらぎ いくと)!」




突然、私たちの横を通り過ぎた男子生徒に向かって怒号を飛ばす先生に、彼はもちろん私も驚いて肩を揺らす。


振り返って彼を見てみると。

はちみつ色の金髪にピアス、着崩した制服、イケメンだけどチャラチャラした印象の男の子だった。




……この人、クラスの女の子が格好いいって騒いでた人だ。

たしか普通科で、隣のクラスの男の子。