「ご、ごめ…」 重いだろうからすぐに離れようとするけれど、茜くんの腕がそうさせてくれない。 「楽にしてろ」 どうして、どうして急に優しくするの。 楽にするなんて、緊張してむしろ全然楽じゃないよ! 茜くんの紺色のカーディガンからは茜くんの匂いがして、それが苦しいくらいに胸を締め付ける。 冷たいくせに、意地悪なくせに、私に興味ないくせに。 それなのに本当は、すごく優しい人だってこと。 意地悪は優しさの照れ隠しだってこと。 ……ねえ、私、わかっちゃったよ。