それから私は、実行委員で忙しくて。
……ううん、茜くんに会うのが気まずくて。
というか、茜くんも劇に出ることになってしまったせいで忙しくて。
私たちは2日目の文化祭、一度も会うことがなかった。
私は白雪姫の劇も見に行かなくて、「有村くん格好良かったね」なんて女の子たちの話し声を遠くで聞いたくらいだ。
「桃。後夜祭、見に行く?」
「うーん、私はいいかな」
「え、行かないの?有村くん多分ミスターコンで表彰されるよ」
「……うん、代わりに見て来て」
ユリに作り笑いを浮かべて手を振って、後夜祭のために校庭に出て行くみんなを見送る。
誰もいなくなった教室の窓から、少し遠いけれど後夜祭のステージが見えた。
うちの学校の文化祭では、在校生と来客の人たちの投票でミスとミスターが決まる。
茜くんは白雪姫にも出たし、きっとエントリーされているのだろう。
……雪音ちゃんも、きっと。



