茜くんの眉がぴくりと寄せられて、私を睨む。
「は?」
「私がしつこいから、付き合ってくれたんでしょ…」
はぁ、とため息をついた茜くんに、びくりと肩が揺れる。
呆れた?怒った?
…もう、嫌いになった?
「わかったよ。
……今度は俺が追いかける」
「え……?」
思いもよらない言葉に、茜くんの顔を見つめ返す。
なに、言ってるの……?
「桃」
……ずるい、名前、呼ぶなんて。
「っ、私、クラスの迷路戻らないと…」
「わかった。じゃあまた」
ゆっくりと、掴んでいた私の腕を解放する茜くん。
大好きなきみの体温がなくなったことが、勝手だけど少し寂しくて。
桃、って、呼んだ大好きな声が。
頭からずっと、離れなかった。



