困ったように眉を下げる茜くん。
困らせてばかりで、ごめんね。
わがままな彼女で、ごめんね。
茜くんが付き合ってくれてるだけでも贅沢なのに、欲張りで、ごめんね。
「やだ……っ」
「…ごめん、どうしたらいい?」
珍しく困っている茜くんが、いつになく優しい声で私をなだめる。
「っ、彼女なのに、「お前」ばっかりで名前で呼んでくれないし…
好きって言ってくれないし…
付き合う前と同じくらい、冷たいし…
私とだってキスしてないのに、他の女の子とキスしてほしくなかった……っ」
ああ、最低だ。
付き合ってもらえるだけで十分だったのに。
こんなこと言ったら、嫌われちゃうかもしれないのに。
茜くんの瞳が驚いたように揺れて、それが私の胸を締め付けて。
こんなこと、言いたいわけじゃなかったのに。
そういう冷たくて、それでもたまに優しい茜くんが、好きなのに。
だけど口から出た言葉は引っ込められなくて、ただ涙だけが頬を伝う。



