そっか。
本当に、したんだ。
「……なん、で」
ツンと目の奥が熱くなる。
じわりと瞳に涙の膜が張って、瞬きしたらこぼれてしまいそうだ。
泣きそうな顔を見られたくなくて、下を向いた。
「……ごめん」
わかってる。
茜くんは、悪くない。
雪音ちゃんが急に動いたから、避けられなかっただけだって、見ていたらわかる。
みんなが見てるから、劇の最中だから、怒るわけにいかないのもわかってる。
わかってる、けど。
でも、私が、彼女なのに。
彼女が、見てるのに。
彼女の私には、キスしてくれたことないのに。
瞬きしたらこぼれた涙が、頬を伝って。
一度落ちることを許されたそれは、次から次へと溢れてきて。
「……やだ」
「仕方ないよね」って笑って、許してあげればすぐに仲直りできたのに。
そしたら文化祭、一緒に回れたかもしれないのに。
だけどこぼれたのは、私の本音だった。



