3秒後、きみと恋がはじまる。




「とりあえず、雨宿りしよう。

……俺の家すぐ近くだけど、来る?」




茜くんの言葉に、こくん、と頷いて立ち上がる。


茜くんは自分の鞄の中からブレザーを取り出して、私の肩にかけた。



「羽織ってて」


きっと、私の制服が透けていたから。
そういうさりげない優しさにも、すぐに胸がキュンとしてしまう。



茜くんは私の荷物を代わりに持ってくれて、ふたり、雨に降られながら茜くんの家に急いだ。







「お、お邪魔します……」



初めて見た、茜くんの家。


昔のあの男の子が茜くんなのだとしたら、たしか茜くんのお父さんはお医者さんで。

さすがお医者さんの家だなぁ、と感じさせられる、大きな一軒家だった。




「親いないから気遣わなくていいよ」



そ、それはそれで別の緊張があるなぁ。