3秒後、きみと恋がはじまる。




「もしかして……茜くんって、」



どくん、と心臓が脈打って。
ばらばらだったピースが、ひとつになった。








『おい…っ』


入学式の日、私の手を掴んだのは。

寂しそうに視線を落としたのはきっと、私が何も覚えていなかったから。









『……俺が誰だか分かってる?』




魔法にかかった、あの日。

好きだと伝えた私に言った、彼の言葉の意味は。







『全然丈夫じゃないだろ』



雨に濡れて帰ろうとしたあの日、私が風邪をひかないように、あんなに心配してくれた理由は。









「茜くん、魔法使いみたいだね!」


「またかよ」

「へ…またって?」

「いや、なんでもない」








『お前、さ』


『……何も覚えてない?』







『……そっか、覚えてないんだっけ』




『何でだろうね。当ててみれば』





茜くんが、お医者さんになりたいと思った、きっかけはー……