『僕がお医者さんになって、助けてあげる』
彼がそう言って笑った、3秒後。
彼の優しくて、同い年にしては大人びた表情に、私の不安は少し軽くなって。
彼のまっすぐな瞳に、操られたみたいに頷いて。
はじめての、恋というにはまだ幼い気持ちを知った。
怖くて仕方なかった病院が、少し怖くなくなった。
助けてくれる人がいるって、なんて心強いんだろうって、気付いた。
『魔法使い、みたいだね』
そう言って笑って私に、彼は少し驚いたように目を見張って。
それから、
『魔法使いだよ』
って、優しく笑った。
魔法使いみたいな彼の笑顔と、今の茜くんの優しい表情が重なる。



