3秒後、きみと恋がはじまる。




「っ、おい!」



突然、後ろから手を引かれて。
その勢いでよろけた私は、その胸に倒れこんだ。



「茜、くん……」



怖いお兄さんたちを睨みつける茜くんに、彼らは怯んだように「なんだよ……行こうぜ」と去っていった。



私は怖くて、冷たくて、震えていた足から力が抜けて、しゃがみこんでしまった。




「おい、大丈夫か!?何かされたのか?」




珍しく、焦った顔をする茜くんに、ゆるゆると首を横に振る。

慌てて走って来て、くれたみたいだ。


傘をさしていない彼は、私と同じくらいびしょ濡れで。

乱れた息を整えながら、しゃがみこんで、私と目線を合わせてくれている。




「なに急に走り出してんだよ。
濡れたら風邪引くだろ」



「……」




少しでも何か喋ったら、涙が溢れてしまいそうで。

私はなにも言えずに、俯いた。