3秒後、きみと恋がはじまる。




冷たくて、ポーカーフェイスで、バカな女が嫌いで。


それでも本当はすごく優しくて、呆れたように笑う顔も好きで。


それから、それからー……。





「っ、茜、くん……」




きみのことが、大好きだった。



闇雲に走って、追いかけてくれるわけもない茜くんから逃げるように走って、もう息が苦しくて。

冷たい雨が体から体温を奪って、手先が震えていることに気づいた。




ーードンッ



誰かにぶつかってしまって、慌てて「すみません」と顔を上げる。


「痛えな…って、あれ」
「なに、かわいいじゃん」
「え、何でこんなびしょ濡れなの?大丈夫?」
「ねえ、透けてるよ?」



ニヤニヤ笑いながら迫ってくるお兄さんたちに、怖くなって後ずさる。



「や……」




「嫌って、そっちがぶつかって来たんじゃん?」
「一緒に服乾かせるところ行くー?」



じりじりと近付いてくる彼らから、じわりと後ずさるけれど。

忙しなく歩いている人たちは、誰も助けてくれない。


どうしよう……もう。

なんで、こうなるの……?