3秒後、きみと恋がはじまる。




「……え、」




ざわざわとした人混みの中で、ざあざあと降る雨音の中で。

きみの小さな声だけが、私の耳にはまっすぐに届いた。




私の方を見て、驚いたように目を丸くしている茜くん。

そんな茜くんにつられてこちらを向いて、少し眉をしかめた雪音ちゃん。



じわり、と目の奥が熱くなって。

きゅっと、痛いくらい唇を噛んで。


ケーキの袋を持ったまま、雨の中に飛び出した。



茜くんにとって、私は、いつも話しかけて来ていたうるさい女で。



そんな私がしばらく会いに来ていないことなんて、茜くんの中では大した問題じゃなくて。



私がずっと会いたくて、泣いてしまうくらい会いたいと思っていた時間にも、茜くんは私のことなんて思い出しすらしなかったんだろう。