3秒後、きみと恋がはじまる。





「…あれ?」




痛む右足をかばいながら廊下を歩いていると、みんな球技大会で外にいるから人気のない廊下に、1人の人がうずくまっているのが見えた。

見覚えのある、ツヤツヤの黒髪ボブ。



「雪音ちゃん…?」



声をかけてみると、ゆっくりと顔を上げた彼女は、息を荒くして、顔が赤くて。



「はぁ、は……桃、ちゃん?」


「ど、どうしたの!?」


「熱、あるみたいで…保健室、行こうとしたんだけど、立てなくなっちゃって…」


苦しそうに喋る雪音ちゃんの額を触ってみると、確かに熱い。

ここから保健室までは少し距離があるから、1人で行くのは大変だろう。




「背中、乗って!連れて行くよ!」

「え、いいの…?」

「私も保健室に行くところだったから!」




親指を立ててにかっと笑うと、雪音ちゃんが安心したように頬を緩めた。


「ありがとう…ごめん、ね」


私の背中に乗った雪音ちゃんは、すごく華奢で軽くて。

それでも人を1人背負うわけだからそれなりに重くて。


「大丈夫…?重くない?」


ハァハァと苦しそうなまま、私の心配をする雪音ちゃんに気を使わせちゃいけないと、「羽のように軽いよ!」なんて言ったら、背中からクスッと笑った声が聞こえた。