「…あれ?」
痛む右足をかばいながら廊下を歩いていると、みんな球技大会で外にいるから人気のない廊下に、1人の人がうずくまっているのが見えた。
見覚えのある、ツヤツヤの黒髪ボブ。
「雪音ちゃん…?」
声をかけてみると、ゆっくりと顔を上げた彼女は、息を荒くして、顔が赤くて。
「はぁ、は……桃、ちゃん?」
「ど、どうしたの!?」
「熱、あるみたいで…保健室、行こうとしたんだけど、立てなくなっちゃって…」
苦しそうに喋る雪音ちゃんの額を触ってみると、確かに熱い。
ここから保健室までは少し距離があるから、1人で行くのは大変だろう。
「背中、乗って!連れて行くよ!」
「え、いいの…?」
「私も保健室に行くところだったから!」
親指を立ててにかっと笑うと、雪音ちゃんが安心したように頬を緩めた。
「ありがとう…ごめん、ね」
私の背中に乗った雪音ちゃんは、すごく華奢で軽くて。
それでも人を1人背負うわけだからそれなりに重くて。
「大丈夫…?重くない?」
ハァハァと苦しそうなまま、私の心配をする雪音ちゃんに気を使わせちゃいけないと、「羽のように軽いよ!」なんて言ったら、背中からクスッと笑った声が聞こえた。



