どひゃー、新年早々、忙しい旦那様に食事を用意させるとかっ、と申し訳なさで慌てる。

 しかし、今の言葉、前後がつながっていなかったような、と思いながら、いつも食事をしているテレビの前のコタツのところに行くと、黒豆、数の子、刺身、煮物、と重箱にこそ入ってはいないが、如何にもなおせち料理が並んでいた。

 可愛らしい淡いピンクで寿と描かれた、口に入れると、ほろっと崩れそうな和菓子もついている。

 いつの間に、こんな完璧に準備をっ。

 も、申し訳ございません、と土下座しそうになっていると、後ろから、
「買ってきてたんだ、気にするな」
と逸人の声がした。

 コックコートを脱いできた逸人に、
「急いで食べろ」
と言われ、

 はっ。
 では、ありがたくいただきますっ、
とコタツに入って、二人で食べる。

 うん、美味しい。

 お雑煮も美味しい。

 ころんとした可愛いお餅が入ってるな。

 逸人さんちはお餅、焼くんだな、と思いながら、出汁の旨味うまみたっぷりの雑煮を食べた。