「ほら。言って。」

「ん……好き?」

「なんで疑問形。」

 私が今まで好きだって言ったことがないというのが、よっぽどお気に召したみたいでお店を出た帰り道でも何度も聞かれる。

 さっきの懺悔も兼ねて拒否出来ずにいる私に澤口は何度でも言わせてみせた。

「ここ?」

「ん?あぁ。ここ。」

 着いたのは高級そうなマンション。

 やっぱり澤口もお坊ちゃんじゃなくて?
 慄く気持ちを抱えながら澤口の後に続いた。

 部屋へ上がらせてもらっても広くて、どう考えても一人暮らしするには持て余す広さだ。

 それとも澤口くらい仕事が出来ると、お給料って同期でもそんなに違うわけ?

 色んな意味でショックを受けて感想を漏らす。