「いらない。なにも食べたくない……」
あのあと戸上さんは救急車で運ばれて、事情聴取にきた清水さんたちのパトカーでちづは自宅へと送られた。
そして騒ぎを知ったお母さんがパートを早めに切り上げて帰ってきてくれたけど、今は会話をする気力もない。
「じゃあ、食べたくなったら言ってね」
「……うん」
パタンと静かに部屋のドアが閉まり、私はベッドの上で膝を抱えた。
数時間前まで楽しい雰囲気に包まれていた部屋は、シーンとしている。
またこうして女子会をやろうねって。戸上さんの家にも遊びにいく約束をしていたのに、もう彼女はこの世界にはいない。
「……っ」
じわりと押し寄せてくる悔しさと悲しさ。当たりどころも分からずに苦しさだけがただ心に蓄積されていく。
……ピロンッ。
と、その時。暗闇の中でスマホの画面が光った。
今度はなに……?
もう嫌。もうやめて。
そう思いながらも、私は震える指先でラインを確認した。
【予告動画 鈴木弘文】
……え?
見間違いだと思い、何度も目を擦る。
予告されたのは、残されたA組のクラスメイトの誰でもなく、それは鈴木先生の名前だった。



