「でも起こしたほうがいいよね?」と、ちづが戸上さんの肩をそっと叩いた。
「戸上さん、おーい」
でも、熟睡してしまっているのか身体はぴくりとも動かない。その姿にクスリとしながら、私も起こす手伝いをした。
「戸上さん、そろそろ起きよう。戸上……」と、その時。
私はある異変に気づく。
戸上さんが着ていた白いシャツになにやら赤いものがついている気がして、確認するために横向きになっていた身体を仰向けにした。
「……ひぃっ」
ちづが腰を抜かしたように、後ろへと倒れる。
「戸上、さん?」
何度呼び掛けても返事はない。それどころか戸上さんは口から血のようなものを吐いた跡があり、揺さぶってもなにをしても白い顔のまま。
「やだ、嘘でしょ?戸上さん、戸上さんっ!!」
状況が受け入れられないまま、再び私のスマホに前園さんから電話があった。
「ま、前園さん……戸上さんが……っ」
私は泣きながらスマホを耳へと当てた。
『木崎さん、落ち着いて聞いて。池谷も死んだよ』
「……え?」
『吐血して家で亡くなってたって』
池谷くんも、死んだ?
ということは、つまり……。
ピロンッ。
部屋にラインの通知音が鳴った。
それは、テーブルの上に置かれたちづのスマホだった。
ちづは動かない戸上さんにしがみついていて確認できる状況じゃないので、「ごめん。見るよ」と、前園さんとの通話を続けたままちづのスマホでラインを開いた。
【あと9人】
ライングループに届いた幾田さんからのメッセージ。
心が、地獄に突き落とされた感覚がした。



