大体、そうなるだろうと予想はしていた。
今の時代SNSなどで簡単に自分以外の情報を調べられるから、『夏休みが延びてラッキー』『このまま卒業まで休みだったからいいのに』と、呟いている人もいれば。
『っていうか殺人事件なんでしょ?一年A組怖い』
『俺、少し見たけど天井まで血が飛び散ってた。トラウマ決定』
『人間関係のもつれだってさ。あのクラス基本的に頭弱い人多いからな』
『もし学校が始まっても来ないでほしい。だって人殺しが紛れてるかもしれないんでしょ?』と、A組の生徒全員を敬遠して、言いたい放題の人もいる。
「ねえ、梓紗。あなたのクラスはなにがどうなってるの?まさか梓紗も変なことに巻き込まれてないよね?」
お母さんが強い力で私の手を握った。
両親は私が幼い頃に離婚していて、それからはお母さんが女手ひとつで育ててくれている。
父親がいないという逆風にも負けずに、お母さんは仕事をいくつも掛け持ちして、この一軒家を建てた。
私にひとり部屋を持たせてあげたいという願いと、将来、私が結婚して母になった時に、伸び伸びと子どもを連れて帰ってこれるようにと、お母さんは今も頑張って仕事をしてくれている。
だから、私はお母さんに恩返しするためにも絶対に死ねない。
死にたくないって思ってる。
「大丈夫だよ、お母さん」
私は心配をかけないためにも、笑みを浮かべて手を握り返した。



