「スマホがないとなんだか落ち着かないよね。警察の人、ちゃんと調べてくれてるかな……?」
「調べてもなにも分からないと思うよ」
「え?」
「警察は証拠ありきだから。どういう方法で動画が送られてきて、どうやって殺しているのか立証できない限りなにもできないと思う」
前園さんは喋り方も考え方もしっかりしていて、同い年には見えないくらい大人びている。
「……なんか前園さんって冷静だね」
今日10人が殺されて、明日は自分かもしれないのに。
「冷静なわけじゃないよ。ただ私はこう見えて流されやすいから、この状況に抵抗してないだけかも」
前園さんが眉を下げて少しだけ微笑んだ。
ちづが言っていたとおり、前園さんは気さくだった。それと同時に胸にあった違和感を思い出して、私は勇気を出して聞いてみることにした。
「あ、あのさ、前園さんって、幾田さんの個人的な連絡先知ってたんだね」
それを言った瞬間、歩いていた前園さんがピタリと足を止めた。



