「こんなことズルいけどさ、動画が送られてくるライングループを退会したらどうなるんだろう?」


……退会。たしかに予告動画が送られてくるのは、あくまでクラス専用のライングループだけ。


みんなが退会してしまえば動画を再生する人はいない。それでも予告どおりの制裁は起きるのだろうか。


私はラインを開き、グループのトーク画面から退会の文字を探す。そしてメニューの左側にあったそれを、じっと見つめた。


……今日も絶対に、予告動画は送られてくる。


幾田さんに対しては償いきれないくらいの罪がある。

ただの傍観者でいた人たちよりも、私はもっと幾田さんに悪いことをしてる。


でも、だからってこんな復讐が許されるわけがない。



「……私が試しに退会ボタンを押してみるよ」


幾田さんから逃げるのではなく、この連鎖を止める方法がもしかしたらあるかもしれないから。



「じゃあ、私も……」

「ちづは待って。これが幾田さんの気に障ってすぐに殺されるかもしれないし、なにが起きるか分からないから、まだちづはなにもしないで」


命の重さは計れない。でも、私はちづに死んでほしくないし、あんな無残な姿を目の当たりにする覚悟もない。

ちづは小さく頷いた。心配するようにぎゅっと腕を絡めてきて、私は震える指先で退会ボタンを押す。



……あ、れ?


何回タップしても反応がない。画面は正常だから、おそらく誤作動でもないはず。