「痛い、折れた、ボキッて折れた……っ」
ぶらんとしている右腕を庇う暇もなく、次は左腕にも同じ現象が起こりはじめた。
「やだ、なんなの、これ!なんで勝手に動くのよ……あっ」
再びボキッという骨が断絶される音。
私を含むクラスメイト全員が目の前で起こっていることが理解できずに、ただ痛そうに顔を歪める麻生さんを見ているだけだった。
「だ、誰か止めてよ……っ。先生呼んできて……い、痛いよ」
そんな麻生さんを見ながら、私の頭の中で動画のことを思い出していた。
【予告動画 麻生唯菜】
予告、という文字がずっと頭に引っ掛かっていた。
場所やシチュエーションは違うけれど、あの黒いフードを被った人物が無抵抗の麻生さんの身体を痛め付けていることは同じ。
予告……ってことは、まさか。
私の予想どおり、右足、左足もねじるようにして方向を変えたあと、ブチブチッと筋肉が切れていく音がした。
「いやあ、痛いっ……痛い……っ!!」
ありえない光景に、みんなの鼓動だけが速くなっていくのをひしひしと感じていた。
そして発狂したような声を出す麻生さんは最後に首元を押さえた。
自分の意志とは関係なく回っていく首をだらんと垂れ下がった両腕で止めることもできずに、麻生さんはマスカラが混ざった黒い涙を流す。



