屋上に着くと、夜空に浮かぶ月に手が届きそうなほど近かった。
「うわあ……」
私は思わず声を出す。
銀色の手すりに手をかけると、街の様子が一望できた。住宅街や駅ビルから放たれる光はすごく綺麗で、まさか学校の屋上でこんな景色が見られるなんて初めて知った。
「学校に忍び込まなかったら見られなかったね」と、前園さんが隣に並ぶ。
「本当に綺麗……」
ちづもうっとりとしながら、キラキラとしてる夜景を眺めていた。
ふわりと、夜の匂いがする風が私たちの髪の毛を揺らす。
こんな風に3人で並んで夜の街に目を向けていると、今までのことが夢だったんじゃないかって錯覚してしまいそうになる。
「ねえ、私ね、高校に入学する前に森元と付き合ってた時期があったんだ」
右耳に髪の毛をかけて、ちづが切なく眉を下げた。
「え……も、森元と?」
私と前園さんの声が重なる。
「本当に短い間だったけど、他の人たちと夜遊びをしてる内になんかそういう雰囲気になって。その時に……人に見られたくない動画を撮られたことがあるの」
ちづの手すりを掴む手が強くなった。
「森元ってけっこう口が上手いでしょ?だから流されて、そういうことを一回だけしちゃったんだよね」



