全身を強く打って、病院に運ばれた時にはすでに息はなく、自殺の可能性が高いことも同時に言われた。
授業中でさえ口を閉じることのないクラスメイトが一瞬で静まり返った。
誰もがきっと同じことを思ってた。
おそらく鈴木先生も。
――幾田さんはいじめが原因で自殺した。
でも、誰も言わなかった。
謝罪の言葉さえ、なにひとつ誰も。
『……えー、まじかよ』と、瞳を泳がせまくる男子。
『そ、そういうのってドラマとかでしか起こらないと思ってた』と、一致団結しはじめる女子。
『原因は分からない。でもみんなあまり騒ぎ立てないように』
教師として教師らしく話を終わらせようとする先生。
どれもこれもが、気持ち悪くて吐きそうだった。
結局、遺書などを残さなかった幾田さんの自殺の原因は不明ということで処理された。
お葬式にはクラスメイトとして全員が参加した。
涙を流している幾田さんの両親の顔と、こちらをずっと見ている幾田さんの遺影を直視できた人はいなかったと思う。
みんな後ろめたさを感じていた。でも、自分はそんなにひどいことはしてないしって、責任逃れもしていた。
そして、また通常どおりの生活になり、幾田さんにしたことも、幾田さんが自ら命を絶った事実もなかったことにして、みんながなに食わぬ顔をしていた。
だから今だって、彼女の存在そのものを、なくそうとしてる。



