「なんでそれをずっと黙ってたの?」


「ちょっと荒れてた時もあったから、あずに知られたくなかった。高校では色んなことをリセットしようって決めてたし、森元と知り合いだったこともバレたくなかったから」
 

「じゃあ、今日会ってたのは?」


「……呼び出されて少し話してただけ」



最後の質問の答えには微妙な間があった。よく見るとちづは膝の上で両手を堅く握っていて、それは皮膚に爪が食い込むほど。



「……もしかして、なにか脅されたりしてるの?」


ちづはなにかに怯えてる。

だってそうじゃなきゃ、森元と親しくなんてするはずがない。



「もしそうなら私が森元に言ってあげる。もうちづにちょっかい出さないでって。それでもしつこいようならもっときつく――」


「や、やめて!」

ちづが声を張り上げた。


「いいの、別に。大丈夫だから」