「今日は他校のヤツらと遊ぶって」

「本当に予告されてないと気楽で羨ましいよ」


投げやりになりながら、武政と井口は答えた。



学校では森元と武政と井口は学年の男子の中でも一目置かれていて、いつも3人で悪目立ちをしていた。

なのに武政と井口が予告されても平然と他校の友達と遊びにいってしまう森元のことはやっぱり好きになれないし、掴みどころがなくてなにを考えているか分からない。



「元はといえば、あんたたちが森元の言いなりになって幾田さんにひどいことをしてきたのが原因でしょ」

前園さんが詰めたく言い放った。



森元はどちらかというと自分の手は汚さないタイプ。だから、なにをするにしても武政たちに指示をしてやらせていた。



「お前たちは森元の怖さを知らないから、そんなことが言えるんだよ」

井口がぽつりと呟いた。



A組にスクールカーストが存在したように、一軍の中にも順位はあった。

もちろん森元はその中でも一番の権力があり、武政と井口は森元に逆らうことができなかったように感じる。



「森元はまじでヤバいから。ずっと前に隣町で猫の死骸が大量に放置されてた事件があっただろ。あれも森元が指示して、他校のヤツらにやらせてたんだよ」


武政も井口も悪いことはそれなりにしてきただろうけど、森元とは種類が違う。森元はサイコパス、とまでは言わなくても愉快に人を傷つけることができる人だ。