仲良くなるきっかけは、休みの日に偶然会ったこと。



その日は優にぃに会う日だった。


お気に入りの服を着て、メイクをして、髪型もキメて。


今できる精一杯のおしゃれをしたわたし。



駅前でクラスメイトの姿を見つけ、慌てて隠れようとしたものの。


『あれぇ? 綾ちゃん?』


と、すぐ見つかってしまった。



『えーっと、朱里ちゃん、だよね?』


『うん。名前覚えてくれたんだ。嬉しい~。ってか綾ちゃん、私服おしゃれー! メイクもしてる? 超可愛くてびっくりしたぁ!』



普段学校にいる時とは違うわたしの姿に、朱里ちゃんは驚いたらしい。



『もしかして、デート?』と聞かれ、慌てて『前の中学の子と遊ぶの!』と答えたけれど。



『実は、私もデート。これ内緒ね! 今度恋バナしようね!』


と耳打ちしてから、朱里ちゃんは笑顔で去っていった。



それ以来、朱里ちゃんはわたしに絡んでくれるようになった。


メイクしてもあまり注意されないよ、というアドバイスをもとに、学校にグロスとマスカラをつけるようになった。


男子からも話しかけられるようになった。


わたしを好きな男子もいるらしい。告白されたわけじゃないから、よく分からないけれど。